チョコレートの盗食に注意しましょう(わんこ:バレンタイン

チョコレート

東京の夜間救急動物病院に勤めていたころ、バレンタイン前後は、わんこによるチョコレートの盗み食いでの問い合わせや来院が多くなっていました。

わんこのチョコレート中毒は、メジャーになってきたなぁと思います。

多くの方がご存じかと思います。

チョコレート

でもこれ、チョコレートそのものというより、チョコレートに含まれるテオブロミンという名前の成分の中毒なのは、ご存じでしょうか。

 

テオブロミンは、同じ「チョコレート」でも、ダークチョコレートなど、いわゆる「濃い」のや「苦い」ものに、たくさん含まれる成分です(そのほか、ココアパウダーにもたくさん含まれます)。
逆に、ミルクチョコレートだと、テオブロミンの量は非常に少なくなります。

ちいさいわんこさんでも、ミルクチョコレートをひとかけくらいだったら、チョコレート中毒にはなりません(でも、お腹は壊すかもしれません。。。)

でも、ダークチョコレートの濃い(苦い)のだったら、とても危険なこともあります。

 

ざっくりしたお話ですが、日本のミルクチョコレートは、本来のチョコレート成分よりも植物油脂などがたくさん含まれているので、テオブロミン含有量は少ないです。

ヨーロッパのチョコレートは、本物のチョコレートが多いので、わんこにとっては危険度が増します。植物油脂をたくさん含んだ日本のミルクチョコレートは、ヨーロッパでは「チョコレートとは認めない」なんて聞いたことがあるのですが、どうなんでしょうか。。。

 

また、中毒を起こす量は、体が小さいほど少なく、体重が大きいほど多くなります。

ここもポイントです。

 

チョコレートを食べちゃった時は、製品名をおしらせいただくか、パッケージもお持ちいただくと、リスクを調べやすいです。正確なテオブロミン含有量はわからないことも多いですが、リスクは判断できます。

体重10kgあたり、テオブロミンが 500mg〜1000mgが中毒量と言われていますので、そのくらいの量になっていそうだったら、すぐに病院に連絡して受診しましょう。

1時間も経ってしまうと、吸収がはじまるので、それから処置をしても中毒症状の発現に間に合わないかもしれません。食べたとわかったら、なるべく素早い行動が大事になります。

病院では、食べた直後であれば、吐かせる処置をして、成分が体内に吸収されるのを防ぎます。また、経過時間や中毒物質、リスクなどを考えあわせて、さまざまな処置を行うこともあります。

 

手作りだとココアパウダーも危険です。

バレンタインイベントは、どうかどうか、わんこたちの気づかないところで楽しんでください。

もしくは、チョコレート抜きでお願いしますーっ。

 

 

あと、忘れちゃいけないのが、パッケージ

包み紙系のものは、中身が何かに関わらず、腸閉塞を起こす可能性がありますので、食べちゃったらすぐに病院に相談しましょう。

この辺のリスクはもう単純に、わんことパッケージのサイズに依ります。。。

 

 

もうひとつ。

おうちで催吐処置を行わないでください。

 

塩を舐めさせると吐く、と書いてあるサイトがあるようです。

塩を舐めさせたら吐くのはどうしてか、よく考えましょう。

塩の舐めさせ過ぎによるナトリウム中毒で、亡くなるわんこもいます。
(実際にそういう子を診たことがあります。その前に食べたものは、中毒物質でしたが、死ぬようなものではありませんでした。わんこもおうちの人も、ホントにやりきれないかと思います。。。)

人工的に「吐かせる」ということ自体、リスクが伴う処置です。おうちで簡単にできることだと思わないでください。思わぬ事故が起きることがあります。

 

 

バレンタインって、わんこにとっては危険ですね、というお話を書こうとは思っていたのですが、気がついたら前日だったので、慌てふためいての記事でした。。。

お気をつけてーっ。