避妊・去勢手術を受けるタイミング・予約方法など
前回の、「避妊・去勢手術 利点と欠点を考えてみよう」に引き続いて、避妊・去勢手術についてのお話です。
今回は、避妊・去勢手術を受けるタイミングと、手術を受けるための予約方法や、事前の準備について詳しく解説します。
タイミングは、犬・猫、性別や年齢によっておすすめの時期が異なりますので、おうちの子に合わせて参考にしてください。
こいぬ・こねこの場合
当院では「からだがしっかりできあがってから手術する」ことを基本としています。
- 目安は生後6ヶ月以降
- この頃に乳歯が永久歯に生え変わります
- 全て永久歯になった頃を目安にしています
ただし、小型犬の中には、成長がゆっくりな子もいます。永久歯が生えそろっていない場合など、少し時期をずらしての手術実施をおすすめすることもあります。
大型犬は、手術を急ぐとあとあと病気のリスクがあるという論文も出ているため、時期は相談になります。また、大型犬は、当院の手術台に乗り切らない可能性があるため、体格によっては、お断りさせていただくこともあります。
乳歯遺残って?
乳歯が抜けずに残っている状態で、小型犬によく見られます。歯並びが悪くなったり、将来的に歯周病の原因になるため、避妊や去勢の手術と同時に抜歯することが多いです。
わんこ・おんなのこのタイミング
わんこ女子は、生後半年すぎ頃から「発情(ヒート)」がはじまります。時期は人間と一緒で個体差があります。
- 発情中は手術NG(血管が太くなりリスクが高くなります)
- 発情終了後1ヶ月以上が安全な時期です
- 発情周期は半年に1回。発情後2〜5.5ヶ月がベストタイミングです
その他のケース
- にゃんこ女子:発情中でも手術は可能
- わんこ男子/にゃんこ男子体調がよければ手術可能です

シニアでも手術はできる?
高齢でも、以下を満たしていれば手術可能です:
- 術前検査で異常がないこと
- わんこ女子は、発情中や直後でないこと(ヒートが終わってから、1ヶ月以上あけての手術をお勧めしています)
年齢が上がると隠れた病気のリスクがあるため、検査項目を増やして慎重に判断します。血液検査、胸部レントゲンは必須。わんこの犬種や状態によって腹部超音波検査をお勧めしています
手術は完全予約制です
避妊・去勢手術は計画的に行う手術です。
当院では、すべて予約制です。
● 初診の方へ
当院を初めて受診される場合は、カルテ作成や健康状態の確認のため、事前におうちの子と一緒にご来院ください。
- ワクチン接種証明書がある場合はご持参ください
- カルテを作成し、身体検査のほか、性格なども確認させていただきます
決定した手術日から前倒しして検査の日を決定します(お越しいただいた当日に検査をさせていただくこともあります)
● 通院中の方へ
すでに当院をご利用いただいている場合は、ワクチン接種や健康診断などのタイミングでご予約いただくことも可能です。
いつでもご相談くださいね。
なぜ事前の受診が必要なの?
病院に行かずに予定が組めたら便利ですよね。
一方で、手術は。おうちの子にとっては、病院に置き去りにされるし、いろんなことが起きるしで、とてもストレスがかかることです。
また、病院では、家では見られない反応や動きをする子も多くいます。そのため、体調だけでなく、性格や行動の傾向も事前に把握することが大切です。病院でのなにげない動きも大事な情報になります。
当院では、手術の前の検査以外にも、いろいろなことを確認させていただいています。
- 成長とともに警戒心が強くなる子もいます
- 怖がりな子や、診察台が苦手な子には、その子に合った対応を考えます
あまりにも怖がる子には、当日に、「不安を抑えるお薬」を飲んできてもらうこともあります。少しポヨンとする子もいますが、自分で歩いたりの行動は普通にできます。「怖い」を減らしてあげることで、ストレスも軽減します。 - 「病院だと暴れてしまったことがある」などのエピソードがあれば、ぜひ教えてください
※ご家庭でも攻撃的な行動がある場合は、事前に必ずおしらせください。

手術日を決める際のポイント
手術日を決める際は、ご家族の予定・おうちの子の体調・病院のスケジュールを考慮して調整していきます。
- 土曜日は原則として手術を行っておりません(緊急時を除く)
- にゃんこ男子以外は、術後のケアのため、休診日の前日は避けるようにしています
- 飼い主さんが旅行などで不在になる時期には、手術は行いません
- ご希望が集中する時期は、1〜2ヶ月先まで予約が埋まっていることがあります
特別な事情があるときはご相談ください
- にゃんこの発情時、鳴き声が大きく、近隣からの苦情がある😢
- にゃんこ男子がスプレー行動を始めてしまった😨
などのお困りごとは、その旨お伝えください。
おうちの環境に配慮したスケジューリングを一緒に考えます。
次回は、「手術当日の流れと術後の過ごし方」についてお話しします。
おうちの子が安心して手術を受けられるよう、当日の準備や注意点、術後のケアについてのご紹介です。