口のなか、覗いていますか?(3)
ちょっと間が空いてしまいました。
ルカさんの口、きれいにしなくてはなりません。
こんなにかわいいのに、
麻酔がかかって寝たところで、口をしっかり観察したら。。
というのが前回までのお話でした。
さてさて。ここからが肝心。
歯石を取ります。
超音波スケーラーという、人間の歯医者さんでも使う道具が登場します。
いろいろなグレードがあるのですが、ル・ル・ル動物病院では、ちょっと頑張って、小動物歯科研究会で学んでいたときに、おすすめされた歯科ユニット(獣医にとっては高級品。。)を導入します。
予想はしていたのですが、衝撃の事態が発生しました。
「歯石と一緒に歯がとれる!」
(しかも複数。。。)
歯に、たくさんの歯石がくっついていると、
歯肉が下がる
↓
そのぶん、歯石がくっつく
↓
歯肉がなくて歯石がくっついていると、
歯を支えている骨も下がる
(歯槽骨=しそうこつ と言います)
↓
そのぶん、さらに歯石がくっつく
というループにハマってしまうのです。
歯肉も、歯槽骨もなくなってしまったところに、歯石が居座って、歯を支えていました。
歯石が支えている、といっても、骨みたいに頑丈に支えているわけじゃないし、そもそも歯石は細菌のカタマリなので、周囲はどんどん炎症を起こして、組織が脆くなります。
要するに、歯は、ぐらぐらしながら、歯石に支えられているわけです。
噛むたびに、不安定な歯が、神経をちくちくしているはず。。。
痛そう。
そんな歯なので、歯石を除去していたら、支えを失って、ぐらぐらぐらぐら。
犬歯のうしろの小さな歯は、根っこが弱いので、こうなってしまうと、簡単に抜けてしまいます。
さて、歯石と一緒に歯が抜けたら、
穴が。。。。
これは、左の上の顎の写真。
クリックすると大きくなります。見て、びっくりされる方もいるので、小さくしました。
左側の大きな歯が犬歯で、そのうしろ(右)に、大きな穴が空いています。
ここ、本当は、3本の歯があったところなのです。
そのさらにうしろ(右)に見えている歯は、二股になっている根っこの左側が、かなり露出しています。歯の股部分が見えています。
犬歯の左側も、赤くただれていますが、これも、炎症がひどかったために起きたことです。
さらに左側に、切歯(前歯)が見えていますが、これも、根っこの半分以上が露出してしまっている状態です。
歯石で支えられていたような歯は、抜かなくてはなりません。
でも、汚れを全部とってしまえば、歯肉の炎症は徐々に元に戻っていきます。
このときに、残った歯と歯ぐきの間の、「歯周ポケット」の汚れも全部とって、歯ぐきが再び歯にぴったりくっつくように処置をします。
(さらにつづく。。)