オンライン順番取り 089-992-9420

おしらせ

避妊・去勢手術 利点と欠点を考えてみよう

動物病院では、一般的に、女の子の手術を避妊手術、男の子の手術を去勢手術と呼んでいます。

ル・ル・ル動物病院では、避妊手術は卵巣子宮の摘出手術、去勢手術は精巣の摘出手術です。

わんこもにゃんこも、どちらも同様に行なっています。

避妊手術も去勢手術も「手術」なので、受けさせていいものかどうか、悩む方も少なくないと思います。

私自身は、自分がうちの子に手術をするからか、手術をすることへの恐怖が少なくて、利点を主に考えるため、「うちの子」は避妊去勢手術は「する派」です。

なかよく暮らす

でも、多くの方々はそうではない(みたいな)ので、手術に対する利点と欠点を挙げます。

いいところと悪いところを天秤にかけて、「いい」と納得してから選択するのがよいかと思いますので、それぞれ挙げてみます。

また、手術そのものや術前術後にありそうな疑問についても、今後取り上げていきたいと思います。

共通の利点

わんこにゃんこに関わらず、避妊・去勢手術共通の利点として、手術をしていない子たちに比べて、長生きできるというデータがあります。

(下記参照)

わんこ:おとこのこ(去勢手術を受ける利点)

マーキング行動の減少

 マーキングは、あらゆるところに尿をかけて回ることで、「排尿」とは別モノ。未去勢のおとこのこにとっては、大事な名刺配り。本能的な行動のため、しつけなどで完全に防ぐのは非常に困難です。

 去勢手術を受けることで、マーキングが「排尿」になるため、尿をあちこちかけて回る行動が減ります(マーキングが習慣化してから去勢手術を受けた場合、足をあげる行動が残ることはあります)

病気の予防

精巣腫瘍、前立腺肥大、会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫、精巣炎などの予防になります。

発情に伴うストレスの軽減

わんこは、発情しているおんなのこがいれば、すっごく遠くにいても気がつきます。

未去勢わんこは、どうしても興奮したり、ふだんよりもケンカっ早くなってしまうことが多いです。

脱走・徘徊などのリスクの軽減

人と生活する上での問題行動の軽減

わんこ:おんなのこ(避妊手術を受ける利点)

病気の予防

 乳腺腫瘍、卵巣嚢腫、子宮蓄膿症、クッシング症候群、糖尿病など

発情とともに悪化する病気の悪化予防

 鼠径ヘルニアなど

発情とホルモンバランス変化に伴う ストレスや問題行動の防止

 発情時、毎回食欲不振になる子もいます。

 わんこは、発情後に乳腺が張ったり、巣作りをはじめたり、おもちゃで子育てしたりすることも。このときに巣や子を「守ろう」として、怒りっぽくなる子もいるのです。そのような、「発情やホルモンバランスに振り回される」行動がなくなります。

dog and cat

発情時の出血がなくなる

 家の中が汚れたりすることがありません。

発情時のわんこトラブルの防止

望まない妊娠の防止

にゃんこ:おとこのこ(去勢手術を受ける利点)

けんか、脱走、徘徊、マーキング行動の軽減

けんかでうつる感染症:猫エイズ、猫白血病ウイルス感染症

にゃんこ:おんなのこ(避妊手術を受ける利点)

望まない妊娠の予防:ねこは妊娠しやすいため増えやすい

病気の予防:乳腺腫瘍(多くが悪性=がん)、子宮蓄膿症

発情に伴う行動の変化、鳴き方の変化

避妊手術・去勢手術を受けた方が寿命が長いのは本当?

ざっくり調べてみたところ、以下のデータがありました。

わんこに関する研究

ジョージア大学の研究では、7万匹以上の犬の医療記録を分析し、以下の結果が得られました:

  • 去勢手術を受けたオス犬は未手術の犬に比べて13.8%長生きしました
  • 避妊手術を受けたメス犬は未手術の犬に比べて26.3%長生きしました
  • 手術を受けた犬の平均寿命は9.4歳で、未手術の犬の7.9歳よりも長くなりました

バンフィールド社のより大規模な研究(220万匹の犬のデータ分析)でも同様の結果が得られました:

  • 去勢手術を受けたオス犬は18%長生きしました
  • 避妊手術を受けたメス犬は23%長生きしました

にゃんこに関する研究

バンフィールド社の研究では、46万匹の猫のデータを分析し、以下の結果が得られました:

  • 避妊手術を受けたメス猫は39%長生きしました
  • 去勢手術を受けたオス猫は62%長生きしました

欠点:共通(手術を受ける欠点)

全身麻酔が必要

手術を受けるために、全身麻酔が必要になります。

どうぶつは、意識があると動いてしまうため、局所麻酔では手術が困難です。

麻酔単独での事故率は、現在非常に少ないです。

太りやすくなる傾向があります

性ホルモンの減少により基礎代謝が下がります。

わんこのおんなのこ:尿失禁

高齢になってきたころに、稀に尿失禁を起こすというデータがあります。

(持続しての尿失禁は非常に少ないです)

思うこと。。

年齢が高くなってから、病気が出てきてからの手術は、やっぱり負担が大きいように思います。

比べると、100%ではないけれども、若くて元気な時の手術は、回復が非常に早いです。

手術の時に、しっかり鎮痛をする(複数の異なる作用のおくすりを使います)こともあるかと思いますが、多くの子が、手術翌日からほぼ普通通りに生活をします。

年齢を重ねると手術ができないの? と訊かれることがありますが、避妊・去勢手術は、「何歳までにしないとダメ」という手術ではありません。

術前検査(健康診断)は必須ですが、多少年齢を重ねていても手術は受けられます。

いちばん大事なことは、手術を受ける利点が、欠点を上回ること。

手術を受ける元気があれば、問題ありません。

術前検査をしっかりして、安全性が高いと判断してはじめて、手術を行います。

不安になってきたら、いつでもご相談くださいね。

余談ですが。。。

過去に、

「先生ー! うちのにゃんこ、16歳になるけど、元気いっぱいで、今まで病院知らずです」と言ってやってきた、にゃんこ女子 16歳。

女子というより、ややおばあちゃんになっている年齢ではあります。

年齢を感じないくらい元気いっぱいでしたが、なんと、乳腺部に腫瘤がありました😱

にゃんこの乳腺部腫瘤の多くは、乳腺の悪性腫瘍(がん)です。

どんどん大きくなって、ものすごく痛くなったり、あちこちに転移したりして、命取りになりやすいです。サイズが2cmをこえると、転移している可能性が非常に高い。

にゃんこの乳腺腫瘍は、ほんとうに「いやなやつ」なのです。

このときは、この子自身が他に病気がなかったこと、お母さんの英断もあって、腫瘤を含む乳腺部の切除と、卵巣子宮摘出(避妊手術)を行いました。(2年後現在、腎臓が弱っていますが、転移を抗がん剤を飲んで抑えつつも元気に暮らしています)

いま元気ですけど、手術が大掛かりになってしまったので、手術費用もかかるし、しばらく入院もしなくちゃいけないし、本人(猫)も痛かったろうし、ということで、お母さんが、この子が若い時に避妊手術を受けさせていれば。。と悔やんでおられました。

避妊手術をしていたら、絶対に乳腺腫瘍ができません! というわけではないのですが、発生率は劇的に下がります。

乳腺がんで、腫瘍がパンパンに腫れてしまうと、手術も困難だし、にゃんこもものすごく痛くて辛いし、見ているおうちの方も辛いです。

そんなこともあって、避妊手術・去勢手術をおすすめしているのです。

(わんこは、半々で悪性腫瘍と言われます。また、良性腫瘍であっても、どんどん大きくなって破れてしまう可能性はあります)

ねむるねこ

次の記事(2回目)は、

避妊・去勢手術を受けるタイミング・予約方法など

下記についておはなしします。

こいぬ・こねこの場合
わんこ・おんなのこのタイミング
その他のケース
シニアでも手術はできる?
手術は完全予約制です
なぜ事前の受診が必要なの?
手術日を決める際のポイント

最後の記事(3回目)は、
避妊・去勢手術のことー手術当日の流れと術後の過ごし方ー

前日の夜から、手術当日
帰宅後〜抜糸までについておはなししています。